信用金庫はもともと地域で暮らす人々が、自分たちの未来や地域社会のために自分たちの金融機関を創りたいという思いから生まれた協同組織です。かつて慢性的な不況で資金難に苦しんでいた地域の中小企業が会員になって、互いに助け合いながら発展していこうという「相互扶助の精神」から設立されました。そのため信用金庫は、「地域社会繁栄への奉仕」「中小企業の健全な発展」「豊かな国民生活の実現」の3つをビジョンに掲げています。この概念のもと、長年にわたって培われてきた人々や会社のつながりを活かし、人とまちをつないで地域の安定的な暮らしを支えることが信用金庫の大きな役割です。
金融サービスは同じでも、経営理念の違いで組織のあり方がそれぞれ異なります。
銀行は、株式会社であり、株主の利益が優先され、主な取引先は大企業です。
信用金庫は、地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関で、主な取引先は中小企業や個人です。利益第一主義ではなく、会員および地域社会の利益が優先されます。さらに、営業地域は一定の地域に限定されており、お預かりした資金はその地域の発展に活かされている点も銀行と大きく異なります。
信用組合は信用金庫と同じ協同組織の金融機関ですが、根拠法や会員(組合員)資格が異なります。例えば、預金の受入れについては、信用組合は原則として組合員以外は預金ができませんが、信用金庫は制限がないなど業務の範囲も異なります。
銀行 | 信用金庫 | 信用組合 | |
---|---|---|---|
根拠法 | 銀行法 | 信用金庫法 | 中小企業等共同組合法 協同組合による金融事業に関する法律 |
組織 | 株式会社 | 会員の出資による協同組織 | 組合員の出資による協同組織 |
会員(組合員)資格 | なし | 地区内に ・住所または居所を有する者 ・事業所を有する者 ・勤労に従事する者 ・事業所を有する者の役員 ・自己の居住の用に供する宅地若しくは住宅の売買契約又は当該宅地の造成若しくは当該住宅の建設、修繕若しくは改良に関する工事の請負契約を締結し、転居することが確実と見込まれる者 《事業者の場合》 従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者 |
地区内に ・住所または居所を有する者 ・事業を行う小規模の事業者 ・勤労に従事する者 ・事業を行う小規模の事業者の役員 《事業者の場合》 従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5千万円、サービス業は100人または5千万円) |
事業内容 | 預金・融資・為替とこれに関する付随業務全般を取り扱う | 預金・融資・為替とこれに関する付随業務全般を取り扱う | 原則組合員に限定した預金・融資・為替とこれに関する付随業務全般を取り扱う |
事業地域 取引対象 | 広域を営業基盤に大企業を中心に不特定多数を取引対象にしている | 定められた地域を事業基盤に中小企業と地域住民を取引対象としている | 定められた営業地域で取引対象は原則組合員だけとしている |